ストリンガーの大鉈

satoyukiEII2005-09-16

ハワード・ストリンガーSONYのCEOに就任した際、9月に経営方針を発表するとしていましたが、その具体的内容をいくつか日経がすっぱ抜きました。


金融・通信事業からの撤退
ソニー銀行などを持つソニーフィナンシャル、So-netソニーコミュニケーションネットワークをソニー本体から独立させ、本体はエレクトロニクス・エンターテインメント事業に資源を集中する。ソニー保有するスカパーコミュニケーション株も順次売却。ただし、この点に関してはソニーは否定しています。


Sony Japan | ニュースリリース | 9月16日付 日本経済新聞朝刊における報道内容について


本業のエレクトロニクス部門でも、不採算部門を清算
具体的にはブラウン管の新規開発を停止、開発員を液晶に集中。検討項目としてQUALIAブランドの廃止、ロボット事業からも撤退し、AIBOQRIOも開発停止。この点に関しては上記記事でも、ソニーは22日に対外発表をするとして、コメントを差し控えたいとしています。


特に金融部門は財務的には超優良部門で、本業の赤字をかなりの部分で補填するなど、切り離すにはもったいない好成績を収めていますので、ソニーの否定もまんざらではありません。しかしやはり、エレクトロニクスの復活がソニーの復活であるという観点は変らないでしょう。My Sony Cardは持ってるわ、So-netには加入してるわの私としても、間違いなくブランドで選んではおりますが、そんな分野で秀でることを望んでいるわけではありません。切り捨てるというなら、それが本当に本業復活の役に立つのであれば歓迎したいところです。まあ公式見解として否定しているわけなので、実際当分の間はないんだろうとは思いますが。


一方エレクトロニクス部門の統廃合は現実味もありますし、かなり興味を引かれる部分です。ブラウン管の開発停止は寂しい限りですが、時代の流れからするとやむを得ないでしょう。AIBOQRIOは個人的にあまり興味がなかったのでむしろ歓迎です。QUALIAの廃止は……やはり寂しいというか、残念ではありますが、ブランドが廃止されても、製品や技術がなくなるわけではないので、それぞれの既存のブランドで力を発揮してくれれば良いかなと思います。


事実、46Xの発表で液晶TV(005)の魅力というか、存在価値は半減してしまいましたし、プロジェクタ(004)についても、VW100の発表によりほぼ同じことが言えます。ポータブルMDプレーヤー(017)なんかは、Hi-MDが出てしまってはどうにもなりません。QUALIAブランドの困難なところは、ブランドの確立よりも維持にあると言えるでしょう。エレクトロニクスの技術は日進月歩ですので、たとえQUALIAクラスの製品であっても、1年もすれば旧世代の機種になってしまいます。005で言えばもはやアドバンテージはLEDバックライトしかなく、D5端子やコントラスト、応答速度などあらゆる項目で46Xに劣る形になってしまいました。こうなると、ブランドクオリティの維持には新しいモデルを投入せざるを得なくなりますが、一般モデルと同じペースで開発・発売していては、採算が合わないどころの騒ぎではなくなってしまうでしょう。QUALIAの廃止はありかもしれません。